『県内高齢者「無保険状態」1030人 短期証更新せず』
昨日の琉球新報に、
今回の後期高齢者医療広域連合議会のことが載っていました。
「県内で後期高齢者医療制度の保険料を滞納して、
発行を受けた短期証を有効期限2カ月を過ぎても更新せず、
「無保険状態」となっている75歳以上の高齢者が、
2009年10月1日現在、1030人に上っている」
「保険料を滞納した人は3397人おり、
そのうち1543人に短期証が発行された」
琉球新報さんの記者さんが、書いてくれてホッとしました。
ただ、要望を言わせてもられえば、
「3397人の滞納者がどういった方々なのか」について、
書いて欲しかったのです。
後期高齢者医療制度は原則として、保険料は年金天引きです。
しかし、ここでいう3397人の滞納者の方々とは、
年金天引きができない、低所得者の方々のことです。
年金が月15000円にも満たない(もちろん無年金者も含みます)、
低所得者の方々なんです。
滞納をしている方々には、いろんな事情があると思います。
行政のみなさんや、政治家は、
思いを馳せるべきだと思うのです。
滞納をしている方々も、
あの悲惨極まる地上戦を生き抜き、
野蛮な米軍占領時代から幾多の苦難を乗り超えて、
今日の沖縄を築いてこられた、
わたしたちのおじいちゃん。おばあちゃんです。
「長生きすることに、申し訳なく思ってしまう…」
お年寄りのみなさんに、そんな思いをさせる政治を、
わたしは変えたい。変えなければいけない。絶対に。
***
今回の議会では、
沖縄県社会保障推進協議会から、
保険料の引き下げなどを求める「後期高齢者医療制度に関する請願書」
が提出されていました。
わたしはこの請願書の紹介議員として、
議会に対して趣旨説明をさせていただきました。
わたしの趣旨説明に対して、
議場から二名の議員の方が質疑がありました。
紹介議員として、わたしがこの質疑に答えなければならず、
とても緊張もしましたが、
請願書の趣旨を深める、とてもいい機会だと思い、
一生懸命、答弁をさせていただきました。
しかし残念ながら、
この請願書は賛成少数で否決になってしまいました。
自民党や公明党の議員のみなさんが、
こうした請願に賛成できないのは、
もしかしたら当たり前かも知れませんが、
あれだけ県議選挙や、総選挙で国民の審判を受けたわけですから、
もっと真摯にこうした声に耳を傾け、方針を改めればいいのにと思いました。
でもやっぱり自ら制度をつくった手前、
簡単には方針転換はできないのでしょう。
国民の声に耳を傾けることができない彼らに、憐憫の情さえ覚えました。
しかしそれでも、許せない質疑がありました。
質疑をしたのは糸満市選出の若手の自民党議員さんでした。
「請願項目には『資格証明書の発行をおこなわないこと』とあるけれど、
その意味は何ですか?」と言ったのです。
わたしの全身の血が、体の底からのぼってくるのがわかりました。
自分達の政党がつくった制度なのに、
「資格証とは何ですか?」だなんて。
わたしはなるべく冷静さを保ちつつ説明をさせていただきました。
「保険料が納められなくて1年が経つと、この資格証が発行されます。
けれどもこの資格証を病院にもっていっても保険はききません。
一旦、全額自己負担で保険のきかない医療費を、
病院窓口で支払わなければいけません。
後日、役所で払い戻しが受けれますが、
しかし、保険料さえ支払うことができない高齢者の方々が、
病院窓口で保険のきかない医療費を支払うことができるでしょうか。
結局は受診抑制になります。
こうしたことが起きないように、
資格証の発行を止めて欲しいという請願です」
この議員さんは、きっと、
こうして困っている高齢者の声を聞いたことがないのだと思います。
わたしは、弱い立場にある人たちの「痛み」に、
想像力さえ働かせることができない、
こうした政治家がいちばん嫌いです。
数字の背景にたくさんの悲しみがあるのです