ひび割れた手
街頭演説で嬉しいのは、
これまで生活相談で関わった
みなさんとの再会です。
わたしの演説が
終わるのを待ちかねて、
みなさん駆け寄ってくれます。
「みずきさ〜ん!」
もうそれだけで、
目頭が熱くなってきます。
「あの時はお世話になりました。
いまは元気に暮らしてますよ!」
初めて相談に来た時は、
うつむいてばかりいたあの人が、
一緒に問題を解決していくなかで、
前を向いて、
明るい表情になっていく。
市議会議員をしていて
一番嬉しい瞬間です。
*
二年前に相談にのった、
お母さんと再会しました。
母子家庭で育った、
お母さんの一人娘は、
高校でとても成績が優秀な子でした。
大学に入学して、
授業料の奨学金は借りたけれど、
入学金がどうしても支払いできない。
銀行をまわり歩いたけれど、
収入が低すぎて借入もできない。
困り果てて、
わたしの無料生活相談事務所に
駈け込んできました。
那覇市の職員と連携して、
母子寡婦福祉資金を利用して、
問題を解決できました。
*
あれから二年が経ち、
娘さんは大学で一生懸命
勉強しているそうです。
本当にありがとうございました。
本当にありがとうございました。
お母さんは何度もお礼を言いながら、
目を真っ赤にして、
お辞儀ばかりする。
わたしのほうが胸が詰まってくる。
真面目に暮らしている人たちが、
どうしてこんなに
暮らしにくい世の中なんだろう。
お金のあるなしで、
どうして子どもたちが、若者たちが、
保育や教育を受けられないのだろう。
諦めなければいけないのだろう。
*
沖縄の選挙はいつも、
基地問題が大きな争点になるけれど、
わたしは叫び声にもならない、
小さなため息を忘れない。
うつむき歩いている人たちが、
少しでも顔を上げてもらえるように。
政治がやるべき仕事は山ほどある。
ひび割れた手で強く握ってくれた、
あの人たちの手を絶対に忘れない。
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