祖母の手

比嘉みずき

2009年09月22日 19:22

今日も特に仕事の予定もなく、
穏やかな休日を過ごすことができました。
またもや早起きをして、朝は洗濯物を干しました。

午前中、老健施設に入所している祖母に会いに行きました。
明治四十四年生まれの祖母は九十八歳。
祖母は数年前に脳梗塞になってしまい、いまは声を出すことはできないのですが、
それでも、しっかりと孫の顔は覚えていて目で訴えるのでした。

「あんたは実際、お見舞いにも来ないでからに!」
ばあちゃんの目は明らかに、わたしに抗議していました。
しかし、それでも細くなった手でわたしの手を強く握ってくれました。
ずっと。ずっと。

声がでないおばあちゃんに、
「ごはんはちゃんと食べている?」「クーラーは寒くないね?」
とわたしから一方的に声をかけても、
ばあちゃんは返事もせずに、ただじっとわたしの顔を見て微笑んでいます。

なんだか照れてしまい、
飲んでいたアイスティーの缶をおばあちゃんの頬にくっつけると、
おばあちゃんは目を丸くして、おどけていました。

午前中、おばあちゃんの部屋で、
読んでいなかった仕事の資料や、新聞をゆっくり読みました。
ときおり、おばあちゃんがわたしの顔を触って邪魔をしました。

帰りに職員さんから、
「最近、食事を摂らないので困っていたんだけど、なぜかヤクルトは飲むんですよ」
と聞かされました。

わたしが小さい頃、おばあちゃんは新天地という那覇の市場で働き、
いつもわたしのためにヤクルトを買ってきてくれました。
おばあちゃんは「ヤクルトが一番身体にいい」と信じているようでした。
毎朝、おばあちゃんと一緒にヤクルトを飲んでいた記憶がよみがえり、
瞼が熱くなりました。

こんどはお土産にヤクルトいっぱい持ってこよう。



                   夕飯は、ししとうカレーをつくったのでした

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